薔薇の師団長タキ・レイゼンと敵国の軍人クラウス・フォン・ヴォルフシュタット。 激しさを増していく戦場で揺れ動く二人の恋の行方は――― 皇紀1928年 大国エウロテが百年条約を破棄して西方デーテンに侵攻した。 小国ひしめきあう大陸の「均衡」はあまりにももろく戦火は遠く東の小国にまで達しようとしていた。 発車時刻の迫るルッケンヴァルテ駅――― 帰国を前に一人遠くを見つめるタキはある人物を待っていた。約束なき待ち人を…。 出発の時間が迫り、列車に乗り込もうとするタキの前に男が姿を現す。 そしてタキの手を取ると、静かな声で囁いた。 「ああ、お前は花のような香りがする」